債務整理~雑感~

司法書士山口達夫事務所 補助者ブログ

2010年4月 のエントリー

債務整理・取引履歴の開示

2010年4月30日 - 19:26 | 投稿者 admin

 債務整理手続きを受託した司法書士は、債権者へ債務者本人から債務整理の依頼を受けた旨の「受任通知」を送ります。

 その「受任通知」を受理した債権者は、その後1~2カ月程度で取引履歴を開示してきます。
 
 その取引履歴に基づき現在認められている利率で計算し直すと、残債務総額が減ったり、場合によっては過払い金が発生してたりすることが判明するのです。
 
 すなわち、取引履歴は債務整理手続きにおける最重要書類なわけです。

 しかし、業者によっては取引履歴を部分的にしか開示してこなかったり、全く開示してこないなんていう場合もあったりします。

 先日、『完済されている方の資料は倉庫に保存してありますが、その資料ははコンピュータによるデータベース化が図れておらず、見つけるのは非常に困難で、開示は多分できないと思います。』という対応の業者がありました。

 そもそも、貸金業者には顧客から請求があった場合には、当該個人の取引履歴を開示する義務があることは判例でも認められており、取引履歴を開示しないことは、判例のみならず、金融庁のガイドラインにも反するものです。

 そこで、上記の業者に対しては、「これ以上、履歴の開示が遅れるようでしたら、取引履歴非開示として監督官庁によ行政処分を求めます。」と連絡したところ、「推定計算でいいですから、そちらで計算し請求書を送って下さい。」とのこと。

 余程、監督官庁による行政指導・処分がいやだったのか、こちらで推定計算した金額を請求したところ、すぐに満額支払うという返答がきました。

 ご依頼者の方の話等からすると、この推定計算金額は、実際に開示された履歴に基づき計算した過払い金よりも大きい金額であった可能性が高いですが、結果的に上手く過払い金が取戻せました。

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自己破産・所有不動産のないことの証明

2010年4月28日 - 20:42 | 投稿者 admin

 東京地裁の立川支部では、破産を申立てる場合、所有不動産がある場合にはその登記簿謄本を提出する必要がありますが、所有する不動産が無い場合には特に何も添付資料はありません。
 
 一般に、「ある」ということの証明に比べて、「ない」ということの証明は難しいと言われています。

 例えば、地球以外の宇宙のどこかに何らかの生命が存在しているかもしれない以上、「地球外生命体がいない」ということを完全に証明することはほぼ不可能でしょう(宇宙全体を隈なく調査し地球外生命体がいないことを証明する必要がありますが、これは不可能ですよね。)。

 これに対し、例えば火星に微生物が存在したということを発見できれば、「地球外生命体がいる」という証明はできるのです。

 このように、ある事実が「ない」ということの証明の困難さから、「ない」ことを証明することを『悪魔の証明』と呼んだりもします。

 このことからすれば、所有する不動産が無い場合にその証明資料を要求しない立川支部の運用は妥当と言えます。
 
 しかし、東京地裁以外のある地方裁判所への破産申立ての資料には、所有不動産のないことを証明する資料が要求されていました。

 とは言っても、住民票のある市における固定資産の課税台帳の提出が求められただけですが(固定資産課税台帳に課税対象となる不動産がなければ、少なくともその市内には、所有する不動産がないという証明になります。)。

 でも、もし完全に所有する不動産がないことを証明する必要があるのであれば、全国の全ての市区町村から同様に課税台帳を取ることが最低限必要となるでしょう。A市に住民票がある人がA市には不動産を所有していないが、B市に不動産を所有しているということは当然考えられるのですから。

 しかし、これではまさに『悪魔の証明』になりかねません。

 そこで、少なくとも住民票のある市において、所有不動産が本当にないのかということぐらいは確認しておきたいということのようです。
 
 破産申立てと一口に言っても裁判所ごとに運用が違うものなんですよねぇ。。

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第10回無料法律相談会の結果報告

2010年4月25日 - 18:03 | 投稿者 admin

 第10回目となった無料法律相談会も無事に終了しました。

 今回は、債務整理の相談をはじめ、時効取得事件の相談、相続にからむ成年後見の相談、不動産の生前贈与または死因贈与の相談など多種多様なご相談をいただきました。

 ご参加いただいた方々、どうもお疲れさまでした。

 次回も5月に開催予定ですので、債務整理関係に限らずお悩みの事案をご相談してみませんか?

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自己破産・ギャンブル(パチンコや競馬等)

2010年4月21日 - 18:49 | 投稿者 admin

 破産法252条1項各号には、破産を申し立てても債務の免責が認められないという免責不許可事由が定められており、その中に、「浪費又は賭博その他の射幸行為による著しい財産減少等」という規定があります(同条項4号)。

 つまり、パチンコや競馬といったギャンブルが原因で作った借金については、債務の免責を認めないということです。

 『借金したお金で好き放題ギャンブルで遊んで、全部スッてしまい借金が返せないから破産で免責してもらおう。』ではあまりに虫が良すぎますよねぇ。

 そこで、上記のような免責不許可事由が定められているわけです。

 しかしながら、『積極的に借金してまでギャンブルはしていないけど、全くパチンコをやらなかったわけじゃない』という方で破産申立てを検討されている方もいらっしゃることでしょう。

 借金したお金を全てギャンブルにつぎ込んだというのであればまだしも、小遣いの範囲内で月に2,3回、突っこんでも2,3万円で勝ち負けで計算すれば、月に1,2万負けているかどうかという程度であれば、その他の状況にもよりますが、十分に免責は認められると思います。

 ですので、自己破産申立てを検討されていらっしゃる方で、多少パチンコや競馬をしていたという場合であっても、まずはご相談してみて下さい。

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雑感

2010年4月20日 - 18:46 | 投稿者 admin

 現在、事務所で受任している破産案件のうち、3件が申立て直前の状況となっており、書類作成をサポートしている私もかなりハードな日々となっています。

 なもので、このブログの更新もままならず今日はこれにて失礼します。

 この後、さらに、個人民事再生申立ての準備もしないと・・・。

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任意整理・Jトラストフィナンシャルサービス(2)

2010年4月19日 - 18:09 | 投稿者 admin

 Jトラストフィナンシャルサービスに対する残債務がある案件の和解交渉が難航していることは以前書きました。

 しかし、嬉しいことに、ほぼこちらが希望する返済計画での和解にまでこぎつけることができました(10数回での分割支払です。)。

 この業者はなかなか分割支払いに応じてくれず、基本的に一括支払でないと和解してこないのですが、当事務所代表が粘り強く交渉を続けた結果、依頼者の方の負担を最小限に抑えた分割支払いでの和解が取れたのです。

 依頼者ご本人もとても喜んでいただき一安心です。

 いつもこの調子で和解に応じてれればいいんですけどね・・。

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第10回無料法律相談会

2010年4月16日 - 9:41 | 投稿者 admin

 4月25日(土)午前10:00~午後6:00の日時で無料法律相談会を開催致します。

 毎月1回、最終週末に行ってきた無料法律相談会も今回で節目の10回目を迎えることになりました。

 法律家へ自分の悩みを相談したくとも、法律系の事務所は敷居が高いと感じられる方が多い中、少しでも法律家への相談をしやすくし、今まで培った経験等を皆様へ還元し、また多くの方々にとって親しみやすい事務所にしたいということからスタートしたこの法律相談会。

 今回も、相談内容によっては、提携している弁護士の先生や税理士の先生を紹介したりしながら、参加される多くの方々に喜んでいただきたいと思っています。

 任意整理、過払い、破産等に限らず、相続問題のこと、不動産登記、会社に関する登記、成年後見制度、損害賠償請求等々、これまでも様々な問題についてご相談いただきました。

 当然、相談費用はかかりませんので、どんな些細なことでも一人で悩まず法律家に相談してみませんか?

 なお、無料法律相談会は完全予約制ですので、ご相談されたい方は事前に事務所までご連絡下さい。

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自己破産~破産後の借入れ~

2010年4月15日 - 9:49 | 投稿者 admin

 総量規制が実施されると、これまで何とか複数の金融機関からの借入れによる自転車操業で持ちこたえていた方の資金繰りが回らなくなり、自己破産者が増えるのではないかといった予測がされています。

 そして、自己破産すると一定期間その事故情報が残るので(いわゆるブラックリスト)、その後の借入れは困難になります。

 この点に付き、先日、破産者への融資に関するニュースが出ていましたので、以下に転記します。

 『6月に予定される改正貸金業法の完全施行を前に、労働金庫の上部組織にあたる全国労働金庫協会(東京都千代田区)が、自己破産者を対象にした融資制度の導入を検討していることが6日、分かった。同法の完全施行の影響で自己破産する多重債務者が増えることを想定し、勤労者向けの生活支援を強化する。新たな「セーフティネット(安全網)」として注目される。

 新しい融資制度は、勤務先のリストラや倒産などで、経済的な困難に追い込まれた人の生活資金を支援する。

 自己破産のほか、任意整理や個人再生なども融資の対象になるが、ギャンブルなど遊興費で借金を作った人は対象外だ。

 融資の原資は、各労金の資本金などから出す。会員向けのモデルケースとしては、最高500万円までを10年以内に返済するプランなどを想定している。担保や連帯保証人は不要で、労金の指定機関が債務を保証する。

 金利は、保証料込みで年利8.75%。非会員向けにも、最高50万円を5年以内に返済するモデルを提示する。

 自己破産は借金が帳消しになるものの、信用情報機関に「事故情報」として登録され、新たにクレジットカードを作れなくなったり、焦げ付きを恐れて、金融機関が新規の貸し出しに応じなくなる。

 ただ、協会でも、融資の審査に関しては、勤務先のリストラや倒産といった理由以外に、「これまで労金からのローン返済が滞っていないか」などについて、厳格に行うとしている。

 6月の改正貸金業法の本格施行では、年収の3分の1超の借り入れができなくなる「総量規制」が導入される。

 このため、多重債務者の中には、借金を重ねることが不可能になり、自己破産するケースが増えると指摘されている。

 労金のセーフティーネットに関しては、金融庁の「貸金業制度に関するプロジェクトチーム(PT)」が3月まとめた座長試案でも、労金が一定の役割を果たすことを求めていた。

 ■労金が検討している融資制度の案
 ▽対象は労金の会員・非会員
 ▽自己破産時に労金でローンなどを組んでいないこと
 ▽年収は最低150万円以上、勤続1年以上
 ▽返済比率が収入の3割

 ■労働金庫 労金法を根拠に設立された金融機関で、労働組合(労組)や生活協同組合(生協)、組合員が会員になって出資する非営利組織。預金の受け入れや、出資金と預金をもとにした貸出業務を行う。預金、為替などは会員でなくても利用できる。現在、全国に13の労働金庫があり、約670の店舗を展開している。会員数は、2009年3月末現在で個人と団体合わせて約18万2700人、預金総額は15兆7500億円。全国労働金庫協会は上部組織にあたる。』(フジサンケイ ビジネスアイ 平成22年4月7日掲載記事より転記)

 破産後にどうしても借入れをする必要が出てきても、事故情報の関係で正規ルートでは借り入れることができず、仕方なくヤミ金に手を出す人が増えるのではないかといった懸念があるのですが、上記のような救済策が少しでも増えればそういった懸念も少しは解消されるのではないでしょうか。。

 総量規制の導入を決めた国も、その一方で総量規制のいわば”犠牲”となってしまう方の保護を積極的に検討してもらいたいものです。

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総量規制(3)~専業主婦(夫)への貸付~

2010年4月14日 - 18:49 | 投稿者 admin

 総量規制が実施されると、基本的に自らの収入のない専業主婦(夫)の方の借入れはどうなるのでしょうか?

 総量規制実施後に収入のない専業主婦(夫)の方が借入れをする場合、「配偶者と併せた年収の3分の1以下の貸付け」という「例外」を利用する事により、 新規の借入れが可能となります(「配偶者貸付」制度)。

 すなわち、収入のない専業主婦(夫)の方で、配偶者の年収が300万円あれば、夫婦合計で100万円まで(夫婦の総年収の3分の1)借入れができます。もし、アルバイトで年収が60万円ある主婦(夫)の方で、配偶者の年収が300万円あれば夫婦の総年収である360万円の3分の1の120万円まで借入れできます。

 なお、この配偶者貸付を利用する場合には、その配偶者の同意書や配偶者の年収を証明する書類の提出が必要となります。

 もっとも、大手消費者金融機関では、総量規制の実施を見越して、専業主婦(夫)の方への新規貸付をしていないところもあるようなので、注意が必要です。

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任意整理・ネオラインキャピタル

2010年4月12日 - 16:57 | 投稿者 admin

 以前、ネオライングループに対する債務整理手続きにおいては、残債務の返済にせよ、過払い金の取戻しにせよ苦労させられるというお話をしたと思います。

 今現在進行中のネオラインキャピタルに対する残債務が20万円程ある依頼者の方の件で、一括返済できないのでどうにかして分割支払いの和解を取りつけようとしているところなのですが、先日、ネオラインキャピタルの担当者からこの件について連絡がありました。

 その担当者は、「例の残債務の支払の件、分割払いでOKという上の者の了解が取れました。」と言います。しかし、その続きがあり、「その代わり、山口事務所さんからうちの方へ請求されている10万円程の過払い金の別件がありますが、その過払い債権を放棄してもらえますか?」というオチがついていました。

 これには、本当にビックリしました。言うなれば、Aさんの残債務の分割支払いに応じる代わりに、Bさんの過払い請求をあきらめろと言うのです。

 当事務所の司法書士がAさんとBさんのそれぞれの代理として債務整理手続きを行っているわけですが、そもそも、代理をした効果は当然AさんとBさんに帰属するわけで、司法書士に帰属するわけではありません。要するに、Aさんの残債務の返済と、Bさんの過払い金の返還請求は、たまたま同一の司法書士が代理して行っているだけで、全くの別の話なわけです(こんなこと言うまでもありませんよね!?)。
 
 にもかかわらず、Bさんの問題を、Aさんの和解交渉の交渉材料として利用しようとするというのは一体どういった了見なんでしょうか。しかもですよ、「Bさんの請求をあきらめたらネオラインキャピタルに対するAさんの残債務額も多少減額します。」と言うならまだしも、「Bさんの請求をあきらめたら、Aさんの分割払いに応じます(債務の減額は一切なし)。」というのがネオラインキャピタルの提案なんです!!

 こんな提案は当然受け入れられるはずもありませんので一蹴しました。

 やはりネオライングル―プにはいろんな意味で苦労させられます。上記のような提案をしてくるあたり、もう”なんでもあり”な感じです(苦笑)

 

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