「破産」というと、めぼしい財産は全て債権者へと渡り、手持ちの財産は一切なしというイメージがあるかもしれません。
そもそも、法が破産を認めた目的の一つに『債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ること』があります(破産法第1条)。
もし、破産者には金銭等の財産の所持が一切認められないとすれば、破産後の生活再建はかなり難しくなってしまいます。そこで、破産をしても破産者の手元に残すことができる財産が認められています(この破産者に所持を認めた財産を「自由財産」といいます。)。
現行の破産法では、必要生活費の3カ月分として、現金99万円を手元に残したまま破産の申立てができるとされています(破産法第34条第3項参照。)。すなわち、現金で99万円所持したまま破産の申立てをしても、この現金が債権者へ分配されることはなく破産手続き完了後もずっと手元に所持し続けることができるのです。