債務整理~雑感~

司法書士山口達夫事務所 補助者ブログ

自己破産~生命保険契約の維持~

投稿日 2010年3月25日 12:47 PM | 投稿者 admin

 破産を申立てても、一定限度で財産の所持が認められる(この財産を自由財産といいます。)というお話は以前にしました。
例えば、現金は99万円までならば、手元に残すことができます。

 現金以外にも、預貯金や生命保険の解約返戻金等を合わせて20万円までならば、自由財産として破産申立ての前後を通して所持し続けることができます。

 では、破産申立て時における生命保険の解約返戻金が20万円を超えている場合、その生命保険契約は解約・現金化して債権者への分配に充てる必要があるのでしょうか?

 このままでは、原則として、解約する必要があります。

 もっとも、その保険契約者が利用できる契約者貸付という制度によって返戻金額を下げることでその生命保険を解約せずに、維持し続けることもできます。
 
 例えば、解約返戻金が35万円ある場合、契約者貸付の制度で17万円の借入れをします。すると、契約返戻金は借入れ金額との差引きで18万円となり、自由財産の範囲内となるので解約せずに維持し続けることができるのです。

 しかし、この契約者貸付の制度もその契約状態に応じて貸付金の限度額があるため、解約返戻金を20万円以内にすることができない場合もでてきます。上記の例でいえば、貸付限度額が12万円だとすると、元々35万円だった解約返戻金は、差引き後23万円となり、自由財産の範囲には収まらないということです。

 現在破産申立て準備中の案件で、まさにこのケースのものがあります。この依頼者の方の解約返戻金は、契約者貸付の制度を使っても自由財産の範囲に収めることができないので解約せざるを得ないような状況ではあるのですが、長く掛け続けてきた保険であるし、ここで解約しても年齢的に同等な条件の保険に入ることは難しいということで、どうしても維持したいというお気持ちがあります。

 そこで、現在裁判所とも協議をしたりしていますが、どうにか保険を解約せずに破産申立てできそうな道筋が見えてきました。

 この続きはまた今度報告したいと思います。

 

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