債務整理~雑感~

司法書士山口達夫事務所 補助者ブログ

2010年3月 のエントリー

コード71(サービス情報71)            ~過払い金請求とブラックリスト~

2010年3月18日 - 17:17 | 投稿者 admin

 債務者の支払の遅滞や破産といった情報が「事故情報」として登録されることを俗に「ブラックリストに載る」と表現するということは以前お話ししました。

 そして、「ブラックリストに載る」と一定期間、新規の借入れが起こせない、クレジットカードを作れない等の不都合が生じます。

 では、債務を全て完済した後に、過払い金を請求した場合の扱いはどうなると思いますか?

 「滞りなく債務を完済したのだから、ブラックリストに載るわけがない」というのが通常の感覚だと思います。

 この感覚は、ある意味で正しく、ある意味では正しくないと言えます。

 というのも、ブラックリストの正体である信用情報機関では、現在、過払い請求を行った場合に「コード71(サービス情報71)」(契約見直し)という情報が登録されます。この「コード71」は、支払の遅滞や破産といった事故情報ではありませんので、一般的な意味での「ブラックリストに載る」というのとは異なりますが、「コード71」の情報が付された場合、新規の借入れができない場合が多々あるからです(これでは事実上ブラックリストに載ったのと同じ状態と言えます。)。
 
 過払い請求権者は、多重債務者である比率が高く、融資してもその債権の回収が図れないので(不良債権化する)、貸し渋るというのが消費者金融業者側の言い分のようです。

 しかし、このコード71の取り扱いも平成22年4月19日に廃止されることになりました(㈱日本信用情報機構発表)。

 よって、今後は、完済後に過払い請求をした場合、信用情報に全く影響しなくなりますので、その後の借入れ等に何の影響もないことになります(理屈の上では)。

 もっとも、完済後の過払い請求をするにあたり、信用情報との関係で万全を期すためには、暫くは新しい信用情報の運用状況の様子を見てからでもいいのかなという気はします。

 当事務所でも、4月19日以降、この問題の情報をアップデートしていきたいと思っています。

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将来利息・プロミス

2010年3月17日 - 10:20 | 投稿者 admin

 任意整理で残債務額を確定し、その後の返済が分割支払いとなる場合、将来利息の有無という問題がでてきます。
 
 例えば残債務額が40万円で、これを月々2万円の分割で支払うという場合、将来利息なしであれば、20ヵ月で返済は終了します。しかし、将来利息が例えば年利18%付されると、当然元本40万円に利息がプラスされてきますので、月々2万円の支払ですと、24ヵ月の支払で支払総額は478,950円となり、将来利息の有無で8万円近い差額が生じてしまいます。

 もっとも、ほとんどの消費者金融機関では、和解をするにあたり、この将来利息を要求してきません。

 将来利息が付かないというのは法的根拠に基づくものではありません(東京三弁護士会統一基準 に依拠)。もし、将来利息を要求されたら払いきれない債務者が続出し、任意整理そのものが成立しなくなってしまうでしょう。債権者としても、債務者が支払不能となって債権回収が不可能となるよりは、利息をカットして少なくとも元本分は回収したいというところだと思います。

 しかし、昨年のある時期、プロミスが将来利息を付けないと分割払いには応じられないという強硬な姿勢を取っていました。

 これには、かなり苦しめられました。交渉も相当厳しく、場合によっては将来利息の利率を下げることだけで精一杯といったケースもありました。その他の各消費者金融業者は軒並み将来利息を要求しないのに、プロミスだけが要求するのは各債権者間の公平性も害します。本当は、どの債権者だって将来利息を要求したいのです。

 当事務所代表はプロミスにそういった旨の抗議を繰り返していました。他の司法書士、弁護士の先生からの抗議も多数あったようです。

 抗議が効を奏したのか、今年になってからはプロミスは将来利息を要求してこない、要求してきてもこちらが抵抗するとすぐに撤回する、あるいはどうしても将来利息を付けたいという場合でもかなり低い利率を提示してくるといった対応に変わってきました。

 今後は、プロミスも他社のように将来利息一切なしという対応をしてもらえるといいんですけどね・・。

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総量規制(1)~総量規制とは~

2010年3月16日 - 10:22 | 投稿者 admin

 金融関係の用語として「総量規制」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

 これは、個人の借入れ金の総額を制限しようというもので、貸金業法の改正に伴い平成22年6月に実施されることになっています。

 完全施行されると、原則、年収の3分の1を超える無担保ローンは借り入れることができなくなります(ただし一部除外または例外となる借入れもあります。)。

 例えば、年収300万円のひとが消費者金融業者から合計100万円の借入れをしている場合、既に年収の3分の1の枠いっぱいの借入れをしているため、新たに借入れをすることはできなくなるということです(1社のみから100万円であっても、複数の業者からの借入れ合計額が100万円であっても新たに借入れはできません。)。

 これは、なかなか厳しい制限で、現在の消費者金融業者等からの借入れがある人のうち、4割を超える人が、すでに総量規制の規制対象となるという試算もあります。

 また、A社への返済のためB社から借り入れるといった、いわゆる自転車操業的な借入れ・返済をしてきた人には総量規制のおかげで、返済不能に陥る可能性もあります。そこで、正規のルートでの借入れができない以上、いわゆるヤミ金から借り入れる人が増えるのでは、と懸念する声も多いです。

 なお、総量規制の対象となるのは、個人の借入れであって、法人の借入れや、個人事業主が事業用資金として借入れを行う場合も総量規制の対象外となります。また、消費者金融業者、クレジットカード業者、信販業者等のからの借入れは総量規制の対象となりますが、銀行、ゆうちょ銀行、農協等金融機関等からの借入れは対象外です。

 不動産を担保とした住宅ローンや、自動車担保ローン等無担保貸付ではない場合にも総量規制の対象となりません。

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減額報酬なし(1)

2010年3月12日 - 10:04 | 投稿者 admin

 任意整理手続に対する報酬には、大きく分けて手数料的な意味合いの基本報酬と成功報酬の2種類があります。

 さらに、成功報酬は過払い金の取戻しに成功した場合の成功報酬と、債務額を減額できた場合の成功報酬(いわゆる減額報酬)とに分けられます。

 例えば、債務整理手続きに入る前の20%を超える利率での残債務額が100万円だったとします。そして、債務整理手続きを行った結果、過払い金が40万円発生したとします。すると、債務を100万円減額できたことになりますので、この100万円の減額分に対して一定割合の成功報酬をかけることを減額報酬と呼んでいます。

 仮に、上記の事例で、減額報酬を10%、過払い金取戻しに対する成功報酬を20%とすると、減額報酬:100万円×10%=10万円、成功報酬:40万円×20%=8万円で、成功報酬の合計は18万円となります。これと、債務整理手続きの基本報酬を合わせてものが総費用となるというわけです。

 20%を超える利率を現在認められている利率に引き直す計算をするだけで、債務を減額できます。もちろん、その後、法律家の手腕により、さらに減額ができる場合もあるでしょう。

 しかし、債務の減額の多くの部分は、単純な計算のし直しにより達成できるのもであるところから、当事務所では減額報酬なしとしております。

 ですので、例えば、上記事例で、100万円の債務が10万円まで減額できた場合、減額報酬ありとする場合、基本報酬と90万円の減額分に成功報酬がかかりますが、当事務所は減額報酬なしですので、基本報酬のみとなります。

 少しでも、ご依頼者の負担を減らそうという事務所代表の信念から減額報酬をいただかないことにしたのです。

 「減額報酬なし」としていると、まれに、「現在の利率に再計算するだけで減額の交渉をしてもらえないのか?」といった質問を受けることがあります(苦笑)。

 そんなことは一切ありませんのでご安心ください!当事務所では再計算後も、少しでも減額できない方法はないか相手方債権者と色々交渉していきます。

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ブラックリストとは

2010年3月11日 - 9:11 | 投稿者 admin

 債務整理に関連する用語として「ブラックリスト」というものがあります。

 しかし、金融業界に「ブラックリスト」という名のリストが実際に存在しているわけではありません。

 そもそも、キャッシングを利用したり、クレジットカードを作ったりすると、銀行・信販会社・消費者金融等が運営する信用情報機関に、その利用者の個人情報や借入れ等の利用状況などの情報が登録されます。

 そして、一定期間支払が滞ったり、破産したりするとその情報が「事故情報」として登録されます。

 この、「事故情報」が登録された状態を俗に「ブラックリスト」と呼んでいるわけです。

「ブラックリスト」というリスト自体があるわけではないのですね。

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過払い請求の現状

2010年3月10日 - 13:47 | 投稿者 admin

 過払い金の返還請求は、以前に比べると大分厳しくなってきています。

 以前であれば、まず、消費者金融業者から過払い金の元本の7~8割程度の返還の提案を受け、そこから具体的な交渉が始まる(場合によっては訴訟へ移行する等。)といった感じでした。

 しかし、現在では、大手消費者金融の場合には、まず4~5割程度の返還の提案を受けることが多く、大手以外は1~3割ぐらいの提案が多いです(いずれにしても、この金額ではお話にならないので、丁重にお断りしますが・・。)。
その上、月々1~2万円程度の分割での返還を提案してくるところもあります(分割での返還など以前では考えられませんでした。)。

 どの消費者金融業者にしても、過払い金請求が殺到している現状では、少しでも支払金額を切り詰めたいというところなのでしょう。

 この流れは今後ますます強くなるでしょうから、過払い金の請求は早くされた方がいいと思われます。

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自己破産~自由財産とは~

2010年3月09日 - 13:47 | 投稿者 admin

 「破産」というと、めぼしい財産は全て債権者へと渡り、手持ちの財産は一切なしというイメージがあるかもしれません。
 
 そもそも、法が破産を認めた目的の一つに『債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ること』があります(破産法第1条)。
 
 もし、破産者には金銭等の財産の所持が一切認められないとすれば、破産後の生活再建はかなり難しくなってしまいます。そこで、破産をしても破産者の手元に残すことができる財産が認められています(この破産者に所持を認めた財産を「自由財産」といいます。)。

 現行の破産法では、必要生活費の3カ月分として、現金99万円を手元に残したまま破産の申立てができるとされています(破産法第34条第3項参照。)。すなわち、現金で99万円所持したまま破産の申立てをしても、この現金が債権者へ分配されることはなく破産手続き完了後もずっと手元に所持し続けることができるのです。

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過払い請求・ネオラインキャピタル

2010年3月04日 - 12:10 | 投稿者 admin

先ネオラインキャピタルに対し10万円強の過払い金が発生している案件があり、担当者へ連絡を入れたところ、「ゼロ和解」希望とのこと・・。

ネオラインキャピタルは過払い金の取戻し、あるいは残債務がある場合の返済方法、いずれの場合も和解交渉は一筋縄では行きません。

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